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高瀬 悠人 「スマホの中の、薄い光」第2話 「まだ、終わりじゃない」
次の日も、また同じ時間、同じ路地裏。 高瀬悠人は、タバコに火をつけると、ゆっくり煙を吐き出した。店の制服のまま、ネームプレートだけ外している。別に見られたくないわけじゃない。誰にも興味なんて持たれていないことは、とうに知っている。 足元に... -
高瀬 悠人 「スマホの中の、薄い光」第1話 「濁った光を手にして」
大船仲通商店街の、目立たない細い路地。たばこの煙が湿った空気に溶ける。高瀬悠人(たかせ・ゆうと)は、いつものように、裏通りの壁にもたれ、スマホをいじっていた。 人差し指でゲーム画面を弾きながら、ふと見上げる。商店街の灯りが、ぼんやりと彼を... -
古賀佑斗「大船、夜とため息と」第1話:「夢を見ていた頃の話をしようか」
佑斗の朝は、大船駅西口の喧騒とは裏腹に静かに始まる。午前11時、いつものようにトースト一枚とインスタントコーヒーで済ませた後、彼は職場である古本屋「読処 たもつ」へ向かう。 「ここに並ぶ本たちって、売れるために書かれたんじゃなくて、残るた...
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